ダイバーシティニュース 政治(5/10)河添恵子【6/30までの限定公開】

河添恵子(かわそえ・けいこ):ノンフィクション作家
一般社団法人美し国なでしこオピニオンの会顧問。1963年千葉県松戸市生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、1986年より北京外国語学院、1987年より遼寧師範大学(大連)へ留学。『中国人の世界乗っ取り計画』(産経新聞出版)、『トランプが中国の夢を終わらせる』(ワニブックス)、『豹変した中国人がアメリカをボロボロにした』(産経新聞出版)、『覇権・監視国家 世界は「習近平中国」の崩壊を望んでいる』(ワック)等、著書多数。報道番組でのコメンテーターとしての出演も多数。Twitter

河添恵子さんのニュースピックアップ

1. 岸田首相、哲学者カントの言葉を引用しロシアを批判

岸田総理は「普遍的価値観を共有する国々で連携を」と言うが、‘No More War’の価値観を持つ日本と違い、米英の支配層は核戦争すら望んでいると感じる。核兵器も国軍もなく、エネルギーも食料もお粗末な自給率の日本は他の先進諸国と大きく異なった状況にある。単に欧米と足並み揃えればいいというのは間違いではないか。ロシアは隣国。完全に敵扱いすれば何世代にもわたって国民同士の関係が悪くなってしまう可能性もある。

2. 駐日米ロ大使がウクライナ情勢巡りTwitterで応酬

西側が意図的にロシアを悪く報じている面もあり、「ロシアの主張はすべて嘘」といった話は疑う必要がある。たとえば、ロイターは地下に避難していたウクライナの市民へのインタビューで、「地下にいるときは本当に怖かった」との言葉だけを切り取って放送している。しかし、実はその言葉に続いて「なぜ市民だけ地下に閉じ込められ、市長や政府の偉い人は逃げたのか。私はロシアに帰る」と言っていたという例もある。

3. ゼレンスキー大統領、6月以降の攻勢でクリミア奪還狙う

戦争を長期化、拡大させようという予告だ。ウクライナのアレストビッチ大統領府顧問は、北大西洋条約機構(NATO)加盟のためにウクライナ全土を犠牲とすることにも言及するような好戦的人物。一方、米国ではウクライナへの武器貸与法が成立した。第二次世界大戦の構図と同じで「どんどん戦争してくれ」というようなもの。ウクライナを戦場にして、ウクライナ国民の命も無視してロシアと戦っているのは米英やNATOだと感じる。

4. ブラジル元大統領「ウクライナ戦争は両国大統領に責任」

正論だと思う。ゼレンスキー大統領にも戦争へ進んだ責任がある。G7(主要7カ国)はロシアがすべて悪いというプロパガンダで戦争を煽っているが、ブラジルはじめ南半球の人々はしらけているのではないか。その点、日米豪印4カ国による枠組み「クアッド」に参加しつつも、ロシアを完全な敵とは見なしていないインドの独自外交は良いと思う。G7の一員といっても日本には日本の事情があるわけで、米英と同じ方向で良いのかと感じる。

5. ポーランドとバルト3国結ぶパイプライン開通 脱ロシア加速へ

ポーランドが、早くからロシア依存脱却を目指してエネルギー安全保障政策を転換していたのは良かったと思う。ただ、ポーランド分割で123年間にわたりロシアなど他国に支配されていた恨みもあり、ポーランドはどうしてもロシアには好戦的。経済的にも発展している国だが、あまり強くロシアを牽制するのは米英やNATOを利するだけで、ポーランド国民にとっては良くないのではないか。

【スペシャルトーク】第二次世界大戦―ポーランドの悲劇と映画「戦場のピアニスト」

スペシャルトークでは、「第二次世界大戦―ポーランドの悲劇と映画『戦場のピアニスト』」と題して、河添恵子さんにお話しいただいた。

第二次世界大戦で、当時人口3,000万人規模のポーランドの被害者は重軽傷者を含め約2,000万人。死者はアウシュビッツの犠牲者を含め、全人口のおよそ1/5にあたる約600万人。史上類を見ない無間地獄であり、1944年のワルシャワ蜂起では旧市街の85%がナチスドイツ軍によって焼き尽くされている。今でもワルシャワの地図を広げると至る所が墓地になっていることが分かり、胸が痛む。

映画『戦場のピアニスト』は、そんな大戦下のワルシャワを舞台にしたユダヤ系ポーランド人のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマン氏をモデルにした物語だ。私はシュピルマン氏の妻であったハリナさんに2回インタビューする機会があった。ドイツの将校に助けられたという経験を綴ったシュピルマン氏の回顧録は、1946年の出版後に発禁となっていた時期もある。しかし、インタビューでは「ドイツ人すべてが残虐ではないと、夫も私も考えている」とお話ししていたことが思い出される。今のウクライナ情勢と同じだ。どんな時代でも、どんな国にも、人道的な方がいることは忘れるべきでないと思う。

いずれにせよ、シュピルマン氏は戦争で死別した家族のことで生涯苦しみ続け、新しい家族ができた戦後も「自分ひとりだけ生き残るべきではなかった。両親とともに死ぬべきだった」と、苦渋を吐露していたそうだ。苦悩のなかで戦争に駆り出されていた人がいれば、命令に背いてもシュピルマン氏を助けていたような人がいる。そう考えると、ロシアを完全に敵と見なしている岸田政権の立場は、現在はもちろん子々孫々にわたって日ロが助け合えなくなるような関係をつくる可能性があり、非常に危険だと感じている。

日露戦争では投降したロシア兵が捕虜収容所に連れて行かれたが、そこでは傷の手当を受け、手厚いおもてなしも受けていたという。そうした収容所での経験を通し、いまだ日本人に良いイメージを持つロシア人はいるかもしれない。今は支配層が100年前と同じように戦争を繰り返しているが、政府がロシアと敵対する状況でも、国民同士は1つの世界に住んでいるという気持ちを持ち続けるべきだと思う。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
3. radikoでも聴取可能です

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