ダイバーシティニュース 経済(5/25)瀬尾傑さん【6月30日までの限定公開】

瀬尾傑(せお・まさる):スマートニュースメディア研究所 所長
1965年、兵庫県生まれ。同志社大学卒業。日経マグロウヒル社(現日経BP社)に入社。経営企画室、日経ビジネス記者などを経て、講談社に転職。20192月、調査報道支援のための子会社、スローニュースを設立し、代表に就任。新しい時代のジャーナリズムの育成と支援に取り組んでいる。Twitter

瀬尾傑さんのニュースピックアップ

1.韓国の大企業において「賃上げドミノ」が起きている

元々は日本と同じく終身雇用が中心だった韓国だが、学歴競争を勝ち抜いて入社した若手社員からの声が経営層への圧力となっているのが理由だ。サムスン電子の国内従業員の2021年の平均年収は前年比13%増の1440万円に。20年以上にわたって賃金の伸びが抑えられている日本の状況を考えると驚くべき数字である。日本経済の問題の一つが人材の流動性の低さ。韓国の賃上げドミノは日本にとっても良い刺激になるのでは。

2.フィリピン大統領選挙、元大統領の息子マルコス氏が勝利

独裁者の息子であっても、Z世代や低中所得層からの絶大な支持を得た。TVなどのメディアには一切出ず、SNSを活用しているのが彼の選挙戦略。フェイクニュースを排除する仕組みのないSNSを使うことで、ネットで情報を収集する層を取り込んだ形だ。フィリピンは様々な問題を抱えているが、一番は(南シナ海の領有権問題で対立しながらも)これまで親和的だった中国に対する政策がどう変化するかだろう。日本にとって大きな関心事であり、注視する必要がある。

3.米ESG指数から除外のテスラ、時価総額はピークからほぼ半減

言動が逐一注目を集めるイーロン・マスク氏。様々な要因でテスラの株価が下がったと思われるが、大きく影響しているのが(株価指数「S&P500 ESG指数」と連動した運用成績を目指す)ESGファンドからテスラ株が除外されたことだろう。テスラで起きている労働問題や、自動運転の事故への対応がきちんとなされていないのではないかというガバナンスの問題から、ESG指数を算出する構成銘柄からテスラが排除された。環境企業であるテスラの存在自体が問われることとなり、株価の急落は深刻な問題ではないかと思われる。

4.健康保険証を廃止するメリットとデメリットとは?

政府はマイナンバーカードと健康保険証の二つの機能をあわせ持つ「マイナ保険証」の利用を促進し、将来的に健康保険証を廃止する方針を打ち出した。実はマイナ保険証を作ることで、医療費や薬のデータ、過去の医療記録を一括管理できるようになる。一方、病歴などを知られたくない方もいるため個人情報の扱いには注意しなければならない。社会保険の費用負担を減らすためには必要な対策であるため、政府がより丁寧に説明するべきだ。

5.人気YouTuberのヒカキンが語る、炎上回避の「7カ条」

「絶対に炎上しない」ことから各世代に人気のヒカキン。彼が炎上回避の方法として挙げたのは「LINEやDMは流出するかもしれない、通話も録音されていると考える」「裏アカウントを作らない」「『デジタルタトゥー』は一生消えないと考える」「誰かを否定しない」「アンチに反論しない」「不特定多数の人がいる場所に行かない」「常に最悪の事態を想定する」という7つだ。ネットの世界での言動と、リアルの世界での言動に差を作らないというのは、非常に参考になるルールだ。

【スペシャルトーク】日米首脳会談で語られたこと

スペシャルトークでは、ジャーナリストの田原総一朗氏に、先日行われた日米首脳会談の内容や、日本が今後考えるべき問題についてお話しいただいた。

1年前に行われたバイデン大統領と菅前首相との首脳会談は、日本ではあまり注目されなかったが、実は前代未聞の会談だった。これまでは新しい米大統領が就任した際、米英・米仏の首脳会談があり、米日首脳会談は早くても3番目以降だったのが、前回は1番目に日本との会談が行われた。これはバイデン大統領が米中問題を抱えるなかで、日本に非常に大きな期待を寄せていたからである。

米国防総省は「2024年か2025年には中国が台湾を武力攻撃する」としている。もし中国が台湾への武力行使に踏み切った際、米国は台湾を守るため中国と戦わざるを得ないとの見方がある。菅前首相とバイデン大統領の会談では、その際の日本の姿勢が問われ、一般的には「日本も戦う」と答えたはずだと思われている。

実は中身は全く違う。当時のバイデン大統領は、本音としては中国と戦いたくないという思いがあった。中国と台湾の衝突を回避するためにはどうすればいいのか、日本の役割に対する米国の期待を受け、日本もそれなりに動くこととなった。

しかし今回の日米首脳会談の1週間ほど前、米国から帰国した自民党のある有力議員と話をしたところ、ロシアによるウクライナ侵攻が起きた後、米国防総省が国際戦略を大きく変更し、具体化したことがわかった。1年前の首脳会談時から大きく方向を転換した形だ。

バイデン大統領は今回の日米首脳の共同会見で、中国が台湾に武力攻撃をした際に米国は「武力介入する」と明言した。(共同会見後、米国側から従来からの台湾施策に変更はないとの説明もあったが)日本でも政府と総理大臣の言うことに違いがあることはよくある。中国が台湾を侵攻した際は米国は中国と戦う。その場合、日本はどうするか──。これがおそらく今回の日米首脳会談で話し合われたことだろう。

笹川平和財団上席研究員の渡部恒雄氏に見解を聞いたところ、今回の首脳会談で「日本は自前のミサイルを持つかどうか」ということが話題になったのではないか、という話になった。かつて米国は世界一強く豊かな国だったが、やがて経済が悪化し、パックス・アメリカーナを放棄した。日本は安全保障を米国に委ねてきたが、主体的に考える必要が出てきた。今回の首脳会談において日本の役割の大きさが改めて判明したと思われる。岸田政権は憲法改正に取り組むことになるだろう。安全保障に関する国会の議論に注目し、国民も真剣に考えていかなければならない。

田原総一朗(たはら・そういちろう)さん経歴:1934年滋賀県生まれ。早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。1964年に東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。1977年からフリーのジャーナリストとなる。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
3. radikoでも聴取可能です

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