ダイバーシティニュース 政治(6/21)津田大介【7/31まで限定公開】

津田大介(つだ・だいすけ):ジャーナリスト/メディア・アクティビスト
メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。ソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムをさまざまな形で実践。オンラインメディア「ポリタス」編集長を務める。Twitter

津田大介さんのニュースピックアップ

1. 杉並区長選は新人の岸本氏が初当選 僅差で現職敗れる

現職が圧倒的に有利とされる首長選挙で3選の現職が敗れる波乱となったが、杉並区はもともと市民運動が盛んで、先の衆院選でも石原伸晃氏が落選するなど今回の結果に通じる流れはあった。杉並区長選のポイントは、野党の結束だ。立憲民主党、日本共産党、れいわ新選組などの応援を受けるなかで、岸本聡子氏の能力や人柄が有権者にきちんと伝わったのだと思う。労働組合の支援なくとも当選したという結果は、戦い方によっては参院選でも野党が勝てる可能性を示したと思う。

2. 最高裁、大阪府立高校の頭髪指導に「違法性なし」の判断

「ブラック校則」が注目されるきっかけにもなった訴訟だ。校則自体が違法という訴えは通らなかったが、頭髪指導で不登校となった元生徒の名前を名簿から消すなどした学校側の不適切な対応には、慰謝料の支払いが命じられた。我々の学生時代と比べても今は校則が一層厳しくなっており、日本国憲法やグローバルな人権基準から見ても「おかしいのでは?」というものは多い。司法も社会の変化に応じてほしい。

3. ウィシュマさん死亡事件で職員不起訴 遺族らは検審申し立て

名古屋出入国在留管理局で収容中だったウィシュマさんは、スプーンで食事を口に運んでもすぐ吐いてしまうなど明らかに異常な状態だった。職員は適切な医療を受けさせる義務があったはずだ。ところが、第三者を介さない内部検証で誰の責任か分からないまま、今回の不起訴となった。遺族も納得がいくわけはない。事実を隠蔽したいという、なんらかの力が働いたのではないかと思われても仕方がない。今後は検察審査会に申し立てを行うとのことで、真相を明らかにしてほしい。

4. NTTが働き方改革 原則自宅勤務で転勤や単身赴任も廃止

グループ内のおよそ3万人が原則テレワークとなり、出社は出張扱いとして出張費が出るという。たとえば東北在住のまま都内勤務地の所属も可能になるわけだ。単身赴任やパートナーの転勤による引っ越しもなくなるし、子育て中の女性も働きやすくなる。こうした働き方がデフォルトになれば、評価基準も成果重視となって、女性の登用機会が増えるのではないか。他の日本企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)にも大きな影響を与えると思う。

5. 「想定以上の津波」 最高裁が原発事故で国の責任認めず

残念な判決だ。国が津波を予見して対策を命じたとしても、あれほどの津波であれば事故を避けられなかった蓋然性が高く、国の責任は認められないという。安全対策の不作為ついて説明も謝罪もないまま、今後も事故処理の費用は電気代で賄われるわけだ。最高裁は高度に政治的な問題において判断を避ける傾向にあるが、原発事故に関する下級審の詳細な検討が判決に生かされなかった点は、不誠実のそしりを免れないと思う。

【スペシャルトーク】参院選の各党の公約と争点

スペシャルトークでは、参議院選挙の「各党の公約と争点」について、津田大介さんに掘り下げていただいた。

昨年の衆院選から1年経っていないこともあり、今回の各党の公約に大きな変化は感じない。ただ、コロナ対応の優先度は下がっている。また、ウクライナ侵攻が防衛費増額や改憲といった保守色を強める自由民主党だけでなく、リベラル側の公約にも影響を与えていると感じた。今回は主要政党のスローガンと重点政策を2~3点見てみたい。

自民党のスローガンは「決断と実行。日本を守る。未来を創る。」。重点政策は1つ目が国防力強化、2つ目が物価高対策となった。物価高対策は今回の参院選における最大の争点ではないか。3番目は災害対策の充実と強化だ。同じく与党の公明党は「日本を、前へ。」というスローガンのもと、重点政策の1番目に経済成長と雇用・所得の拡大を掲げている。2番目は全世代型の社会保障構築、3番目は公明らしく「国際社会の平和と安定」となった。

一方、「改革。そして成長。」というスローガンを掲げる日本維新の会の重点政策を見ると、出産や教育の無償化、消費税・ガソリン税の引き下げや物価高対策、新型コロナ感染症の感染法上の扱いを「5類」へ引き下げることとしている。国民民主党のスローガンは「給料を上げる。国を守る。」。自民と維新のハイブリッドという感じだ。そのうえで、給料が上がる経済の実現、積極財政への転換、出産・教育・子育ての予算倍増を重点政策に掲げている。

立憲民主のスローガンは「生活安全保障」。重点政策では物価高対策と教育の無償化、着実な安全保障を掲げている。リアルな安全保障の強化という面では、泉代表は過去に防衛費増額に関して否定的ではない趣旨の発言をしている。これに対し「平和でも、くらしでも、希望がもてる日本に」とのスローガンを掲げる共産党の大きな重点政策は2つ。1つは憲法9条を生かす平和外交。ここは共産党らしい。もう1つは物価高から生活を守るという点だ。

れいわ新選組のスローガンは「『日本を守る』とは『あなたを守る』ことから始まる」。自民の言葉も引き受けたうえで、よく考えたスローガンだと思う。重点政策は消費税とインボイス制度の廃止、ガソリン税ゼロ、季節ごとの10万円給付だ。社会民主党のスローガンは「がんこに平和! くらしが一番!」。戦争反対・憲法を活かす政治、コロナ禍からの生活再建、格差・貧困の解消の3つが重点政策だ。「NHKをぶっ壊す!」をスローガンとするNHK党は、年金受給者のNHK受信料無料化・スクランブル放送実現のほか、防衛費をGDP2%程度に引き上げることも打ち出している。

全体的には、維新、国民民主、れいわの公約が比較的具体性を持っていると感じた。いずれにしても今回の選挙は自民の横綱相撲になると思うが、自民のリスクは3つ。1つコロナの再拡大だ。また、物価高は支持率に直結する。特にガソリン価格の高騰は難しい問題となっており、直近では岸田政権の支持率もやや低下している。ここに有効な対策を出せなければさらなるリスクになるだろう。そんななかでも防衛費増額を掲げているが、その財源が示されていない点を有権者がどう判断するかも大きなポイントになるのではないか。

ダイバーシティニュース視聴方法

1.LuckyFM茨城放送のラジオ FM88.1/94.6MHz
2. YouTubeライブ配信(アーカイブでも視聴可能です)https://www.youtube.com/channel/UCOyTwjQoiUJXxJ8IjKNORmA
3. radikoでも聴取可能です

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