買取仕入と消化仕入って何が違うの?

先日、シックスパッドなどを販売するMTGの中国の子会社「MTG上海」で、不適切な会計があったとニュースになりました。商品の仕入計上のタイミングが争点となっているようですが、今回は仕入形態と仕入の計上時期について解説します。

仕入形態の1つに消化仕入があります。通常の仕入取引であれば、発注者は品質や数量間違い等の問題が無ければ、手元に到着した時点で商品等を買い取り、同時に仕入を計上します(買取仕入)。しかし、消化仕入では商品等が発注者の手元に到着した時点ではまだ商品等を買い取りません(仕入の計上も行いません)。商品等が外部の消費者へ販売された時点で発注者は商品等を買い取り、仕入計上します。同時に、販売者は仕入先に対する売上を計上します。

買取仕入では、商品等が発注者の手元に到着し、検収された時点で仕入計上されます。これは、検収時点で商品等の所有権が販売者から発注者へ移転したと考えるからです。少し専門的になりますが、商品等の価格決定権や在庫リスク等、商品等から得られる利益と同時にリスクが全て販売者から発注者へ移転したと考えられるタイミングで、仕入(販売者にとっては売上)が認識されます。

消化仕入では商品等を受け入れた時点では仕入計上しませんが、これは商品等の価格決定権や在庫リスクが依然として販売者にあるということでもあります。商取引においては、発注者と販売者との間でそのような取り扱いをした方が両者にとって望ましい場合があるのです。消化仕入の具体的なケースを見てみましょう。

消化仕入は、例えば百貨店やショッピングセンターなどで活用されます。百貨店が商品を全て買取仕入する場合、買い取った商品をどのように保管陳列しようがどのような価格で販売しようが百貨店の自由です。しかし、販売者のメーカーにとっては不適切な保管陳列方法や過度な値下げ等によりブランドイメージを悪化させたくないという意向もあるでしょう。その場合、商品等の価格決定権や保管責任等をメーカーに留めおきたいニーズが考えられます。

また、百貨店としても商品等を全て買い取ると、それだけ運転資本も増加しますし、在庫リスクも抱えることになります。その結果、取扱商品の種類が限定され百貨店としての魅力が低下する可能性があります。

消化仕入は、このような両者の利害を調整するための仕入形態と言えます。

計上の仕方

4月:メーカーから商品@1,000を消化仕入の契約で10個仕入れた。
5月:5個を@1,200で販売した。

仕入時(4月)
会計処理は不要

販売時(5月)
借)          貸)
売掛金  6,000   売上 6,000
売上原価 5,000   商品 5,000

入荷した商品の全部ではなく、この内消費者へ販売された部分について売上と仕入を同時に計上します。現在は、このような会計処理が一般的と思われます。

しかし、2021年から適用される「収益認識に関する会計基準」では、売上6,000と売上原価5,000の差額である1,000が百貨店にとっての売上高(手数料)として取り扱われます。これは、百貨店が提供する経済価値は、販売者であるメーカーに対する販売場所や販売機会等の提供であり、これによる受取手数料が売上と考えらえるためです。この変更により百貨店の利益には影響はありませんが、売上高の金額が大幅に減少する可能性があります。

収益認識に関する会計基準による場合の会計処理

販売時(5月)
借)                                  貸)
現金 6,000         買掛金     5,000
受取手数料 1,000

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